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「爬虫類を飼いたいな」
そう思ったとき必ずと言って良いほど候補にあがるのが、このフトアゴヒゲトカゲではないでしょうか。トゲトゲの多い荒々しい見た目とは裏腹に、首をかしげたり腕を回したり、愛嬌たっぷりの仕草を見せてくれます。
「丈夫で初心者でも飼いやすい」ということが魅力として語られることの多いフトアゴヒゲトカゲですが、外国産のトカゲであることには間違いはなく、飼育の基本をしっかりとおさえていなければ最悪の事態を招いてしまうこともあります。
「飼育に必要なものはなんとなく知ってるけど飼育環境のイメージがわかない・・・。」
という方も多くいらっしゃるかと思いますので、今回は、私の実際の飼育環境をご紹介しながらフトアゴヒゲトカゲの飼育方法を徹底解説したいと思います!
多くの地上棲トカゲの基本的な飼育方法となりますので、是非最後までご覧ください!
フトアゴヒゲトカゲとは?まずは生態について知ろう
爬虫類の中でもとても一般的なトカゲであるため、他のサイトなどでも情報はたくさん出回っていますが、ここでは主に飼育に関わる点に絞ってご紹介します。
体長
大人になると約45cm~55cm程度まで成長します。外国産のトカゲの中でも比較的小型の部類に入るため、初心者向けと言われる理由の一つにもなっています。
また、「ベビー」と言われる子供については、15cm~20cm程度の個体が一般的です。
価格
ノーマルで8000円~15000円前後です。
フトアゴヒゲトカゲには多くのモルフ(種類)が存在し、希少性により価格は大きく異なります。これは多くの爬虫類も同様です。
寿命
約5年~8年前後です。
最長で15年生きた記録があるという情報を目にしたことがありますが、飼育下ではどうしても野生より短くなってしまうため、10年以上飼育することは困難と言えるでしょう。
行動
ここでは、飼育環境下において頻繁に見ることができるフトアゴヒゲトカゲの行動をご紹介していきます。様々な仕草が見られるのもフトアゴヒゲトカゲの魅力ですね!
口を開ける
バスキングスポット(保温ライトの真下)で温まっているときによく見られる行動です。口を開けることで体内の熱を放出したり、逆に暖かい空気を体内に取り込んだりして体温調節をしています。
ただし、バスキングをしていないときにも頻繁に口を開けていたり、エサを食べた直後でもないのにいつも口をパクパクさせているような状態であればそれは肺炎の可能性が高いです。フトアゴヒゲトカゲの病気については同記事内に記載しています。
腕を回す
アームウェービングと言われる行動で、基本的には「敵意はない」ことを表す行動であると言われています。私は2匹のフトアゴヒゲトカゲを一つのケージ内で飼育していますが、威嚇されたときや、バスキングスポットで体が重なったりするときによく見られます。
まれにハンドリングしているときにも腕を回しますが、カクカクと不器用に腕を振る姿は癒されるものがあります。
頭を上下する
先ほどご紹介したアームウェービングとは対照的に、こちらは相手を威嚇する行動でボビングと呼ばれます。カクッ!カクッ!と頭を上下に振り、時にはそのまま相手にとびかかることもあります。
一方で、大人の雄に関しては雌への求愛行動の意味合いも含まれています。私が飼育している子も頻繁にボビングをし、最初は「喧嘩かな?」と思っていましたが、その後すぐに交尾を目の当たりにすることができましたので、30cm以上のサイズの子をペアで飼育している場合のボビングは、求愛の意味合いが強いと思われます。
尻尾を振る
こちらもボビング同様、相手を威嚇する行動です。
怒っているときやイライラしているときに見られる行動で、尻尾をしばらく振ってから突如ボビングを始める、という流れが多いです。こうした威嚇行動は、脱皮の途中でかゆくてイライラしている時や、お腹がすいている時、オス同士の縄張り争いの時などに比較的よく見られます。
実際の飼育環境をもとに具体的な飼育方法をご紹介
ここでは、具体的な飼育方法や飼育環境について解説します。ネットなどでも情報がたくさん出回っていますが、知識として知ることはできても飼育している状態を具体的にイメージするのはなかなか難しいのではないかと思います。
そこで、今回は実際に飼育しているフトアゴヒゲトカゲの飼育環境を写真付きで紹介しながら、より具体的に解説していきます!
まずは実際の飼育環境を写真でご紹介
写真が小さくて見づらいところもあると思いますが、画像をクリックしていただければ拡大されますので気になる画像は是非拡大してくださいね!(スマホでご覧の方はピンチアウトしてください)
ケージの全体像
レイアウトの全体像①
レイアウトの全体像②
バスキングスポット
エサ入れ
水入れ
こちらのレイアウトについて、制作工程や必要なもの、かかる費用などについて詳細に解説した記事もありますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
▼レイアウト解説記事▼
飼育に必要なもの一覧表
まずは「飼育に何が必要なのか」を一覧でご紹介します。それぞれについては下で詳しく解説していくので一度ざっと目を通してみましょう。
既にご存じのものが多い場合は、解説を見たいリンクをクリックしていただけるとそこの解説まで飛ぶことができるので活用してみてくださいね!
項目 | 製品 | 重要度 |
環境 | 飼育ケージ | 必須 |
床材 | 必須 | |
水槽台 | 高 | |
たこ足配線 | 中 | |
照明類 | バスキングランプ | 必須 |
紫外線ランプ | 必須 | |
ソケット | 必須 | |
ランプステー | 高 | |
小物類 | エサ入れ | 中 |
水入れ | 高 | |
ピンセット | 中 | |
流木 | 低 | |
石 | 高 | |
空き瓶 | 低 | |
エサ | 生きエサ | 高 |
野菜 | 中 | |
人工飼料 | 高 | |
カルシウム剤 | 必須 |
製品別にそれぞれを詳しく解説!
必要なものをざっと一覧でご紹介しました。ここからはその製品が飼育において何のために必要かということを解説していきます。
飼育ケージ
90cm×45cm×45cm
フトアゴヒゲトカゲは大人になっても50cm程度にしかならないため、横幅60cmの飼育ケージであれば生涯飼育が可能とされているケースが多いです。
しかし、狭めのケージでも”飼える”というだけであって、広いケージで飼育をしてあげたほうが大きく育ちますし、生体へのストレスも少ないため、物理的なスペースなどよほどの問題がない限りは90cmのケージで飼育をしてあげましょう。
▼使用しているケージ▼
クールスポット(涼しいところ)とホットスポット(暖かいところ)を1つのケージ内につくることが理想的なので、その点でも横幅90cmのケージが望ましいです。(温度管理についての詳細は後述しています!)
ベビーからの飼育であれば生体の大きさに合わせてケージの横幅を45cm、60cmと徐々に大きくしていくことも可能ですが、成長のスピードがかなり早いためすぐに大きなケージが必要になるという点は注意が必要です。
また、爬虫類の多くは本能的に上から来るものを怖がります。そのため、毎日の世話のことを考えると前開きのケージにするべきでしょう。
■ジェックス グラステラリウムのポイント
グラステラリウムについては、こちらの記事で詳細に解説していますのでもう少しこのケージについて知りたいという方は是非ご覧ください。
床材
※クルミ素材のものを使用しています
床材を何も敷かず、ガラスケージのままだと滑ってうまく歩けないので、ケージ同様こちらも必須アイテムです!
主に砂やウッドチップ、キッチンペーパーなどが使用されることが多いです。特に、世話が楽という点からキッチンペーパーやペットシーツで飼育されている例が多く見られます。
▼使用している床材▼
私は自然素材のものを使用していますが、見た目がきれいであるという理由のほかに、フトアゴヒゲトカゲは掘って遊んだり、掘った穴に顔をうずめて寝ていたりすることがあることも理由として挙げられます。そのような姿を見ているとやはり自然素材のものが良いのであろうと思います。
また、世話という点においては、排泄物や食べ残しを1日に2回(仕事に行く前の朝と仕事から帰ってきてからの夜)スコップで取り除いているだけですので、そこまで手間に感じたことはありません。
自然素材のもので消臭効果が特徴として売り出されているものもありますが、私の経験上どうしても臭いは残りますし、きちんと排泄物を毎日取り除いていればそこまでひどくなることはないので”消臭効果のあるもの”を前提として購入を検討する必要はないでしょう。
■ビバリア ウォールナッツサンドのポイント
ただし、砂やウッドチップ、また私のようにクルミなどを使う場合の最大のデメリットは”誤飲”です。
材質の大きさにもよりますが、エサを食べるときに一緒に飲み込んでしまうこともあり、自然のものが使われている床材であれば毒素などで死んでしまうことはなくとも、体内に詰まってしまって排泄ができないケースなどがあります。
そのため、私はコオロギなどの生きエサを与えるときはケージにコオロギを放さず、必ず手やピンセットから食べさせるようにしています。
水槽台
90cm×45cm×70cm
水槽台については必須ではありませんが、前述したように爬虫類は本能的に上から来るものを恐れます。
ケージが低い位置にあると、ただ人が歩いているだけでもストレスになってしまう可能性がありますので、比較的高い位置にケージを置いてあげられることが望ましいです。
▼使用している水槽台▼
私は上記のものを使用しており、爬虫類用のケージ台ではなくアクアリウム水槽用のものなので若干サイズが合わず片側1mm~2mm前後はみ出していますが、不安定さは感じられずトラブルも起こっていません。
水で満たした水槽を置くことを想定して作られているので、環境的にそれよりも圧倒的に軽い爬虫類ケージを置いても壊れる心配がないというのが嬉しい点です!
■コトブキ プロスタイルのポイント
注意点として、とにかく頑丈なので重いことと、組み立てが少々難しいということが挙げられます。組み立てや設置については二人で行うようにしましょう!
また、少しはみ出すことは事実ですので、地震などが不安な方にはおすすめできません。
たこ足配線
爬虫類の飼育方法に関する情報で意外と触れられていないものがこのたこ足配線です。爬虫類だけでなく熱帯魚の飼育にも言えることですが、温度管理が必要な動物は多くの電源を必要とします。季節を問わず最低でも3口、4口以上あれば理想的でしょう。
また、これがないとケージを置ける場所が家にあるコンセントの位置に限定されてしまうので、自由にケージを配置するためにもあったほうが良いアイテムと言えます。
バスキングライト
これができないと消化不良を起こしたり、食べたものを吐き戻してしまったりすることがありますので、フトアゴヒゲトカゲの飼育においては必須のアイテムです!
温度管理のポイントは、ケージ内にホットスポット(暖かいところ)とクールスポット(涼しいところ)を両方つくることです。温度勾配を設けることで、フトアゴヒゲトカゲが暑いと感じるときは涼しいところへ、寒いと感じるときは暖かいところへ自分で移動でき、体温調節をうまく行うことができます。
狭いケージより広いケージのほうが温度勾配をつくりやすいので、そういった意味でも大きめのケージで飼育することのほうが望ましいと言えるでしょう。
私の飼育環境では温度を大きく3つに分けて管理しています。
クールスポット:25℃前後
中間:28℃前後
ホットスポット:40℃前後
夏場はクールスポットが30℃を大きく上回ってしまい、冬場はクールスポットが20℃を大幅に下回ってしまうので、私はエアコンを24時間つけっぱなしにしています。部屋全体の温度をエアコンで管理し、照明器具で温度勾配をつける、というイメージです。
砂漠に住んでいるトカゲとはいえ、夏の暑さに関してはケージ内で涼む場所もなく、熱中症になってしまいすぐに死んでしまう場合もあるので夏は細心の注意を払いましょう。
また、バスキングランプは1年ほどで寿命を迎えます。寿命を迎えると突然ぷつっと切れてしまうので1年前後を目安に交換をしてください。私はいつ切れても良いように常に1つの飼育ケージにつき1つ余分に用意しています。
バスキングランプについて各メーカーから様々なものが出ていますが、GEX(ジェックス)のサングロータイトビーム100Wを使用しています。
▼使用しているバスキングランプ▼
W(ワット)数は保温球から生体の距離で選びますが、飼育環境によって距離は前後しますので以下の表を参考にワット数を決めてくださいね。
距離(cm) | 50W | 75W | 100W | 150W |
10 | 50℃以上 | 50℃以上 | 50℃以上 | 50℃以上 |
20 | 32℃ | 36℃ | 39℃ | 43℃ |
30 | 28℃ | 31℃ | 33℃ | 34℃ |
40 | 27℃ | 29℃ | 30℃ | 29℃ |
50 | 26℃ | 27℃ | 27℃ | 27℃ |
60 | 25℃ | 25℃ | 25℃ | 25℃ |
また、GEXの公式サイトにてバスキングランプについての詳細を解説した動画が上がっていますので、さらに詳しく知りたい方は以下も参考にしてみてください。(GEX公式サイトに遷移します)
紫外線ランプ
バスキングランプ同様、こちらもフトアゴヒゲトカゲの飼育においては必須アイテムです。
多くの昼行性トカゲは紫外線を浴びることで脱皮を促進したりビタミンD3を生成したりするため、健康に大きく影響を及ぼします。中でも紫外線UVBが必要で、これが不足すると骨の病気であるクル病にかかってしまいます。
UVAについては窓ガラスを通るためそこまで意識する必要はなく、販売されているものもほとんどがUVB照射用のランプです。
私の飼育環境ではGEXのレプタイルUVB150の26Wを使用しています。紫外線ランプについては、「ワット数=紫外線の強さ」ではなく、球の大きさであると考えて問題ありません。同製品についても13Wと26Wのものがありますが、飼育環境(ケージの大きさやレイアウト)に応じて使い分けるという選び方で良いでしょう。
また、レプタイルUVB150と似た製品で、レプタイルUVB100というものがあります。UVB150は”砂漠に住んでいる爬虫類の環境に合わせたもの”がコンセプトになっており、UVB100よりやや紫外線が強いようです。
フトアゴヒゲトカゲの場合はUVB150を選んでおくと間違いありません。
また、注意すべき点として、紫外線ランプは紫外線が切れていても発光するということが挙げられます。「発光しているから」と思っていても実は紫外線が照射されておらず、生体が病気にかかってしまうというケースも珍しくありません。必ず半年を目安に交換しましょう。
▼使用している紫外線ランプ▼
ソケット
バスキングランプや紫外線ランプは「球」として売られているので、それをつなぐソケットが必要です。E26口金といわれるサイズが一般的で、爬虫類用のソケットであれば基本的に問題はありません。
角度の自由度が高いこと、伸縮できることなど、可動域が広いことから以下を使用しています。
▼使用しているソケット▼
ランプステー
ソケットを固定するステーです。ソケットはクリップ型(洗濯ばさみのような形)になっており、ステーをはさむことで固定します。
上でご紹介したケージにはセットで1つ付属されていますが、バスキングランプと紫外線ランプの2つ分必要ですので、必ず1つは買い足さなければなりません。私も生体を迎えてからステーが足りないことに気づき慌ててショップまで買いに行った経験がありますので、忘れず購入しましょう!
▼使用しているランプステー▼
エサ入れ
床材に直接エサを置くことは衛生的に良くないのでエサ入れを使用します。また、床材に砂やウッドチップなどの素材を利用する場合は誤飲の恐れがあるので必ず使用してください。
フトアゴヒゲトカゲは虫エサ以外に人工飼料も野菜も食べますので、それらを入れておく浅めのエサ入れと、虫エサを入れておく深めのエサ入れの2種類あると理想的です。
▼使用しているエサ入れ▼
■ジェックス フーディングディッシュのポイント
基本的に虫エサを与えるときは手やピンセットから与えるようにしていますが、中には人慣れしておらず食べてくれない子もいるので、その際は以下のような脱走しにくい作りになっているエサ入れにコオロギを入れておきます。
▼使用している虫エサ用のエサ入れ▼
■スドー レプタイルカップのポイント
注意点として、コオロギの場合はジャンプして簡単に脱走できてしまうので、必ず後脚の2本をちぎってから入れるようにしましょう!デュビアなどのゴキブリ系はそのまま入れてしまって問題ありません。
しかし、エサ入れに入れすぎるとコオロギやデュビアが重なってそのまま脱走されるケースもあるので、エサ入れの大きさにもよりますが3~5匹程度にし、食べたら追加するという使い方がベストです。
私の場合は、朝起きて手からエサをあげ、仕事に行く前に野菜と人工飼料を混ぜたものをエサ入れに入れて「置きエサ」状態にしてから仕事に出かけています。
水入れ
フトアゴヒゲトカゲは乾燥地帯に住むトカゲのため水入れは必須ではなく、水分は野菜から摂取するので水入れから直接水を飲んでいる姿も見たことがありません。
しかし「もしものどが渇いたら」ということを考えるとやはり用意してあげたほうが良いでしょう。
▼使用している水入れ▼
フトアゴヒゲトカゲは乾燥地帯に住むトカゲのため水入れは必須ではなく、水分は野菜から摂取するので水入れから直接水を飲んでいる姿も見たことがありません。しかし「もしものどが渇いたら」ということを考えるとやはり用意してあげたほうが良いでしょう。
また、冬は乾燥しすぎる可能性があるため、湿度を適度に保つためにもケージ内に一つ置いておくと安心です。大きすぎると逆に湿度が高くなりすぎてしまうので、フトアゴヒゲトカゲの飼育においては小さいもので構いません。
■ジェックス ウォーターディッシュのポイント
ピンセット
1つ持っておくと何かと便利なのがこのピンセットです。
虫かごなどから生きエサを捕まえるときや、フトアゴヒゲトカゲにエサをあげるとき、野菜などの食べ残しを取り除くときなど多くの場面で活躍します。
ただし、衛生面を考慮し、糞を取り除くときは同じものを使用せず、別のピンセットか割りばし、スコップなどで取り除いてください。
▼使用しているピンセット▼
フトアゴヒゲトカゲは口が大きく、ピンセットごとエサにかじりついてしまう時があります。その際に口の中を怪我しないよう、金属製のものではなく木製(竹製)のもの、かつ先が丸くなっているものを選びましょう。
木製(竹製)ですので、私の場合は半年くらい使ったところで、ピンセットが開く力が弱くなり買い換えました。高額なものではないのでいくつか常備しておくと良いかもしれませんね。
流木
ケージ内のレイアウトとして使用します。私はバスキングランプの直下に配置し、バスキングスポットとして流木を使用しています。大きめのものを一つケージ内に配置するだけでレイアウトがとても美しくなります。
レイアウトする際は、流木を重ねすぎないように注意してください。大きくなったフトアゴヒゲトカゲはかなりの体重になるため、安定しているように思えても飛び乗ったりした際に崩れてしまう恐れがあります。
また、流木をネット通販で買う場合は、1点物を選んで買うこともありますが、よほどのこだわりがない限りは基本的には3本セットなど複数の流木がセットになっているものを買うことをおすすめします。お得であるという他に、形状お任せなのでどんな形のものが届くのか楽しみですし、届いたものを使ってどうレイアウトしようかを考えることも楽しいと私は思うからです。
石
こちらも流木同様レイアウトに使用しますが、主な目的はバスキングスポットを作ること、特にトカゲのお腹を温めることです。
バスキングランプは上から照射しますので、背中面を温めることはできてもお腹を温めることはできません。そこで、石やレンガをバスキングランプで照射し、全身を温められる環境を作ります。
こちらも流木と同じく積み重ねすぎは危険なので、大きな石を一つ設置という使い方が理想的です。また、バスキングランプからの距離が近すぎると熱くなりすぎてしまうので、直下ではなくややずらしたところに置くようにしましょう。
空き瓶
あると便利、というくらいですが我が家では必須です。用途は、コオロギなどの生きエサにカルシウム剤をまぶすときに使います。下でカルシウム剤を紹介しますが、小さな入れ物に粉が入っているだけですので、そのまま使うには上からまぶすしかありません。お皿にコオロギを入れて上からまぶしていたら飛び跳ねて脱走されますので、私は空き瓶にカルシウム剤を少量入れてその中にコオロギを入れ、シェイクしています。
逃げる心配もなく、コオロギの全身にカルシウム剤が付きますのでとてもおすすめです。深めのものであればどんなものでも構いませんので、ご自宅の中を探してみてくださいね!
生きエサ
主にコオロギ、デュビア、ミルワームなどを指します。
フトアゴヒゲトカゲの場合は、野菜や人工飼料にもしっかり餌付きますので必須ではありません。特に、ヤングからアダルトサイズの子であればショップが生きエサ以外の餌付けをしているケースが多いです。しかし、ベビーの頃は生きエサで飼育をしてあげたほうが成長も早く、私の経験では体もしっかりした子に育つ印象があります。
また、飼育をしているとわかりますが、やはり虫が大好きです。野菜をあげていて食べなくなり「お腹いっぱいかな?」と思っても虫を見せるととんでもない勢いで飛びついてきます。私は、野菜と人工飼料をメインにしながらも、1週間に1回はコオロギとデュビアをあげています。栄養価が偏らないよう、バランスの良い給餌を心掛けましょう!
生きエサのサイズですが、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズで表記されることがほとんどです。フトアゴヒゲトカゲのサイズとエサのサイズ、与える量を表にしましたので参考にしてみてください。
フトアゴヒゲトカゲ | コオロギ | デュビア | 目安量 |
ベビー | Sサイズ~Mサイズ | Sサイズ | 食べるだけ |
ヤング~アダルト | Lサイズ | Mサイズ~Lサイズ | 10~15(+野菜) |
コオロギやデュビアなどの生きエサを与える際は必ずカルシウム剤を添加してください。虫の栄養価は高いのですが、カルシウムが不足します。カルシウムが不足するとクル病というとても危険な病気にかかってしまいますので、カルシウムの添加は忘れないようにしましょう。
また、フトアゴヒゲトカゲはとてもよく食べるのでついついエサを与えすぎてしまうことがあります。しかし、肥満が原因で死んでしまうことも多いので、「与えすぎ」よりは「少し足りない」くらいを心掛けてください。
絵面がなかなか強烈ですので商品リンクは控えますが、Amazonなどの通販でも買えるのでショップが近くにない方は通販を利用しても良いかと思います。
野菜
個体により好みは分かれますが、ほとんどの個体は野菜をよく食べますので、刻んだ野菜をエサ入れに入れて置いておきましょう。
私は豆苗、小松菜、カボチャ、ニンジンをあげていますが、どうやら豆苗とニンジンが人気のようです。ネギなどの刺激物は絶対に与えないでください。ほかの野菜も、もしダメだった場合が怖いので私は上記の4つ以外の野菜は与えていません。
虫エサと同様、こちらもカルシウム剤の添加を忘れずに!
人工飼料
フトアゴヒゲトカゲ専用の完全栄養食とされています。理論上このエサだけで飼育が可能ということになりますが、同じエサばかり与えていると飽きて食べなくなってしまう可能性があります。
そのため、やはり虫エサや野菜なども与えつつ、メインのエサを人工飼料にするという与え方が理想的です。私が使用している人工飼料のラベルにも以下の記載があります。
時々、おやつとして新鮮な野菜やフルーツ、コオロギ等のエサ昆虫を与えることをおすすめします。
▼ベビーサイズ用はこちら▼
▼アダルトサイズ用はこちら▼
ドライフードですので、そのまま与えると固すぎて食べられません。水でふやかしてスポンジのような状態になってから食べさせてあげてください。私は、野菜などと一緒にエサ入れに入れています。(大人の個体は固くてもガリガリ食べます)
完全栄養食ですのでこのフードへのカルシウムの添加は不要です。
カルシウム剤
生きエサや野菜の時に触れたカルシウム剤です。人工飼料以外のエサを与えるときはすべてのエサに必要だと思っていただいて構いません。
野菜につける場合は上からふりかけ、生きエサにつける場合は空き瓶にカルシウム剤を少し入れ、その中にエサを入れ添加します。何度もお伝えしていますが、重大な病気につながってしまうので必ず忘れず添加しましょう!
▼使用しているカルシウム剤▼
フトアゴヒゲトカゲとの接し方について
これまでは飼育に必要な用品をもとに注意すべき点や使い方について触れてきました。ここでは日々のお世話やフトアゴヒゲトカゲとの接し方について解説していきます。
日々のお世話
飼育をする前は、自分の生活リズムとフトアゴヒゲトカゲの生活リズムを合わせるイメージがなかなか湧きづらいかと思います。一例として、私の生活をご紹介しますので参考にしてみてください。
時間 | お世話 |
7:30~8:00 | ・バスキングランプ点灯 |
8:00~8:15 | ・水替え ・糞、食べ残し掃除 |
8:15~8:30 | ・紫外線ランプ点灯 ・エサやり |
21:00~21:15 | ・糞、食べ残し掃除 |
22:00~ | ・紫外線ランプ消灯 |
24:00~ | ・バスキングランプ消灯 |
私は昼間仕事に出ていますので、お世話をするのは朝と夜だけです。特に大きな工夫をしているわけではありませんが、バスキングランプと紫外線ランプの点灯・消灯時間を分けている点は意識をしています。
バスキングランプは温度管理に必要なので長く点灯させておいても大きな問題はありませんが、一方で紫外線ランプは点灯している間は常に紫外線を発しています。自然下では紫外線は太陽から出るものですので、照射時間は長くてもせいぜい8~10時間程度です。私のように朝仕事に出て夜帰ってくる生活をしているとどうしても自然と全く同じにすることは困難ですので、可能な限り近づけるようにしています。
当時は「大丈夫かな?」と心配でしたが、この生活リズムで我が家の子たちは長年飼育をしていますし、すくすくと育ってくれているので問題はなさそうです。
ただし自然と同じにすることに越したことはなく、今ではサーモスタットと呼ばれるものも商品化されており、時間や温度を設定することでバスキングランプや紫外線ランプ、その他の保温器具などを自動で点灯したり消灯してくれたりする優れものです。
以下でタイマーサーモという製品を詳細に解説した記事もありますので、気になる方は是非ご覧ください。
▼タイマーサーモ解説記事▼
「どうしても心配」あるいは「仕事の帰りはもっと夜遅くなってしまう」という方は購入を検討してみてくださいね。また、旅行に出かけたりする際にも自動で管理してくれるので、ひとつ常備しておけば安心かもしれません。
フトアゴヒゲトカゲとの接し方
フトアゴヒゲトカゲは爬虫類の中でも本当に穏やかで、警戒心が少ない子が多いトカゲです。しかし接し方を誤ってしまうと人を怖がるようになってしまったり、ストレスでエサを食べなくなってしまったりしますので、しっかりと覚えておきましょう!
お世話をするとき
糞や食べ残しを取り除くときや、水替えなどを行うときはできるだけトカゲの頭上に手や腕がいかないように意識しましょう。完全に人に慣れてしまった子であればそこまで意識する必要はありませんが、ベビーやヤングから飼育する場合はまだそれほど人慣れしていない場合が多いので、意識し過ぎてし過ぎることはありません。
また、割りばしやピンセットなどの用品が体に当たらないように、こちらにも注意を払いましょう。
ハンドリング
爬虫類の飼育を検討している方は一度は「ハンドリング」という言葉を見たり聞いたりしたことがあると思います。その名の通り生体に手で触れることを指しますが、お世話をするときよりも、このハンドリングについては注意を払ってあげてください!
まず意識していただきたいことは、爬虫類は犬や猫と違い「人に触られて喜ぶ動物ではない」ということです。そのため、慣れている子でも過度のハンドリングは多少なりともストレスになりますので禁物です。
しかし一方で、触らなければ慣れないということも事実です。適切なハンドリングについていくつかポイントがありますのでご紹介します。
- ケージから出すときは必ずトカゲの腹部に手を添えてすくい上げるように持つ
- 暴れたり威嚇したり、嫌がる仕草を見せたらすぐ止める
- あまり頻繁にし過ぎず、長時間ハンドリングをしない
急に慣らそうとせず、少しずつ日数をかけて徐々に慣らしていくことを意識しましょう。また、慣らしていくために、エサをあげるときにハンドリングするという方法がかなり有効です。そうすることで、触られることは怖いことではないと理解してくれるようになり、ハンドリングを嫌がらなくなります。
可愛いフトアゴヒゲトカゲを見ているとついつい触りたくなってしまうものです。正しいハンドリングでしっかりと信頼関係を築きましょう!
知っておきたいフトアゴヒゲトカゲの代表的な病気について
フトアゴヒゲトカゲがかかる病気は多くありますが、多くのトカゲがかかりやすい病気と大きな差はありませんので、以下の記事にまとめました。
フトアゴヒゲトカゲがかかりやすい病気についてあらかじめ概要を知っておきたい方は是非ご覧ください。
フトアゴヒゲトカゲの飼育方法まとめ
これまで、必要な用品をもとに私の飼育環境をご紹介しながら、フトアゴヒゲトカゲの飼育方法の解説を行ってきました。飼育において重要な点のみに絞ったまとめは以下です。
- 90cmケージで飼育をする
- 紫外線UVBライトとバスキングランプは必ず設置する(紫外線ライトは半年に1回交換する)
- 40℃前後のホットスポットと25℃前後のクールスポットを作る
- ハンドリングは過度にしない
- 人工飼料以外のエサにはすべてカルシウム剤を添加する
- エサは与えすぎず少し足りないくらいで調整する
最後に:フトアゴヒゲトカゲと最高の生活を送っていただくために
最後までお読みいただきありがとうございます。
フトアゴヒゲトカゲは比較的飼いやすい部類に入るトカゲですが、温度や紫外線、栄養など意識しなければならないポイントが多くあり、人と一緒に生活することが一般的な犬や猫よりも飼育難易度が高いことは間違いないと思います。爬虫類を診れる病院もあまり多くありません。
今回ご紹介させていただいた飼育方法で絶対大丈夫というわけではありませんが、できる限り詳しく、正確な情報をお伝えしました。
飼育の基本をしっかり押さえることができれば、人を怖がらなくなり、ケージの前に座っただけでエサを欲しがって走り回る姿を見ることもできるでしょう。私が休みの日はたまに部屋に放してあげていますが、そこら中を冒険したり、ひざの上に飛び乗ってきたりと本当に愛らしい仕草を見せてくれますし、丈夫でたくましく、本当に素晴らしいトカゲです。
たくさんの愛情を注いであげ、フトアゴヒゲトカゲとの素敵な生活を送ってくださいね。