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ぷくりと膨らんだ頬につんっと反り返った鼻、そんなヘビらしからぬ愛らしい姿をしているのがこのシシバナヘビです。
セイブシシバナヘビ、トウブシシバナヘビ、ナンブシシバナヘビと生息地によって種類が分けられていますが、総称して「シシバナ」と呼ばれ、そのかわいらしさから女性からの人気もとても高い種です。
やや警戒心が強く臆病な性格をしている子が多いですが、ストレス耐性に強く、丈夫で初心者の方でも飼育がしやすいヘビです。また、繁殖も進んでおり、多くのモルフ(品種)が流通しているので、好みのカラーや模様の個体を選ぶ楽しみもあります。
今回は、そんな魅力たっぷりのシシバナヘビの飼育方法を私の実際の飼育環境をご紹介しながら徹底解説したいと思います!
是非、最後までご覧ください!
シシバナヘビとは?まずは生態について知ろう
ヘビの中では比較的情報が出回っている種ですので、ここでは主に飼育に関わる点に絞って基本的な生態の情報をご紹介します。
また、セイブ、トウブ、ナンブと種類がありますが、以降の内容はすべて私が飼育している「セイブシシバナヘビ」について解説していきます。
体長
オスとメスで体格に大きな差が出ます。
オスは大人になると約60cm程度まで成長し、メスは大人になると100cmを超えることもありますが、外国産のヘビの中でも、ボア系やパイソン系と比較すると小型の部類に入ります。
大きなケージを用意せずとも生涯飼育が可能というところも飼育のしやすいポイントと言えるでしょう。
価格
シシバナヘビの価格相場はノーマル個体で30,000円~50,000円前後です。
シシバナヘビは繁殖がとても進んでおり、たくさんのモルフ(品種)が存在し、様々なカラーや模様の個体が流通しています。もちろん、珍しいモルフや際立って美しいモルフはさらに高価になります。
寿命
約10年~20年前後です。
少々幅がありますが、飼育下ではおよそ10年前後と把握しておいて良さそうです。
毒
シシバナヘビは弱い毒を持っています。私は噛まれたことはありませんが、人間の命を脅かすほど危険なものではなく、噛まれた部分がしびれる、腫れるなどの症状でおさまるそうです。
牙ではなく唾液に毒が含まれているようで、牙でつけた傷に唾液が触れることで毒を与える仕組みになっており、長時間噛まれ続けるのは人間であってもとても危険なようです。
実際の飼育環境をもとに具体的な飼育方法をご紹介
ここでは、シシバナヘビの具体的な飼育方法や飼育環境について解説します。ネットなどではいくつか情報が出回っていますが、実際に飼育している状態を具体的にイメージするのはなかなか難しいのではないかと思います。
そこで、今回は実際に飼育しているシシバナヘビの飼育環境を写真付きで紹介しながら、より具体的に解説していきます。
まずは実際の飼育環境を写真でご紹介
写真が小さくて見づらいところもあると思いますが、画像をクリックしていただければ拡大されますので気になる画像は是非拡大してくださいね!(スマホでご覧の方はピンチアウトしてください)
ケージ全体像
シェルターと水入れ
基本的にはシェルターと水入れのみというシンプルなレイアウトにしています。床面が狭く見えるかもしれませんが、シシバナヘビは立体行動も比較的よくするので流木の上やシェルターの上なども歩き回れているので問題はなさそうです。
生体の様子を見ながらベストなレイアウトを組みましょう!
このレイアウトについて、制作工程や費用も具体的に解説していますので、参考にしてみたい方は是非以下の記事も読んでみてくださいね!
▼レイアウト解説記事▼
飼育に必要なもの一覧表
まずはシシバナヘビの飼育に何が必要なのかを一覧でご紹介します。それぞれについては下で詳しく解説していくので一度ざっと目を通してみましょう。
既にご存じのものが多い場合は、見たい製品のリンクをクリックしていただけるとそこの解説まで飛ぶことができるので活用してみてくださいね!
項目 | 製品 | 重要度 |
環境 |
飼育ケージ | 必須 |
床材 | 中 | |
水槽台 | 低 | |
保温類 |
保温球 | 中 |
ソケット | 中(保温球を使用する場合は必須) | |
パネルヒーター | 中 | |
小物類 |
シェルター | 必須 |
水入れ | 必須 | |
ピンセット | 必須 | |
エサ | 生きエサ | 低 |
冷凍エサ | 必須 |
製品別にそれぞれを詳しく解説!
必要なものをざっと一覧でご紹介しました。ここからはその製品が「飼育において何のために必要か」ということを解説していきます。
飼育ケージ
アクリルケージ(レプタイルボックス)を使用しています。
ショップでは、ヘビ類をこのケージに入れて販売されているところがとても多いです。
「狭そうだな」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ヘビは逆に広すぎると水入れを見つけられない場合があります。エサを探す時以外は基本的にシェルターの中やケージの隅などでとぐろを巻いていることがほとんどなので、そこまで広いケージは必要ありません。
▼使用しているケージ▼
ただ、インターネットなどの情報では「とぐろを巻いた時の3倍程度のサイズが目安」と記載されていることが多いですが、個人的にはそれでは少し狭すぎるかなという印象を持っています。
私は、とぐろを巻いた時の3倍程度のサイズというのは面積のことではなく、ケージの1辺の長さのことを指すという理解でいます。つまり、とぐろを巻いた時のサイズが幅10cmだとすると、ケージは横30cm×奥行30cmが必要ということです。
また、ヘビは力が強く、体が細長いので思わぬ隙間から脱走することができてしまいます。ヘビに限らず全ての爬虫類・両生類に言えることですが、ケージの蓋は必ずきっちりと閉めてください。
シシバナヘビの場合は、最終的には45cmケージを用意してあげられることが望ましいですが、成長スピードがそこまで早いわけではありませんので、ベビーから飼育を始める場合はプラスチック製の虫かごや、私の使っているレプタイルボックスなどでもしばらく飼育が可能です。
レプタイルボックス→レプタイルボックスワイド→45cm四方のガラスケージ
というように生体のサイズに合わせてケージを大きくしていきましょう。
■レプタイルボックスのポイント
レプタイルボックスについてさらに詳細を知りたい方は以下もご覧ください。
▼レプタイルボックス解説記事▼
レプタイルボックスの特徴を解説|機能や使い勝手を徹底レビュー
床材
私はクルミ材のものを使用していますが、メンテナンスは少し手間がかかります。シシバナヘビの糞は水分が多く、液状に近い状態で排せつされるため、トカゲなどの飼育のように割りばしでつまみ上げることができません。
そのため、自然素材のものを床材に使用している場合は、糞をした周辺の床材ごとスコップですくい上げて取ることになります。
▼使用している床材▼
床材にしみ込んでケージの底面につくことも多いので、2週間~1か月に一度は床材をすべて取り出し、ケージを清掃してリセットします。
私はシシバナヘビ以外の生体の飼育にもこの床材を使用しているので5kg入りのものを複数購入していますが、かなりの量が入っているため小型のケージでの飼育であれば3kgのもので十分事足ります。何度かケージの床材をリセットしていて、無くなったら追加で購入するという方法で問題ありません。
上記の理由から、ショップや多くの飼育者の間でも床材はペットシーツやキッチンペーパーが主流です。
シシバナヘビは床材を敷いていなくても器用に体を動かして歩き回ることができますので、メンテナンスのしやすさを重要視される場合は何も敷く必要はありません。
しかし、シシバナヘビの反り返った鼻は穴を掘ることに特化した進化とも言われており、粒子状の床材を入れるとガンガン掘り進みます。できるだけ野生や自然に近づけたい方はメンテナンスの手間を惜しまず、自然素材の床材を入れてあげてください。
水槽台
水槽台については必須ではありませんが、爬虫類は本能的に上から来るものを恐れます。ケージが低い位置にあると、ただ人が歩いているだけでもストレスになってしまう可能性がありますので、比較的高い位置にケージを置いてあげられることが望ましいです。
しかし、シシバナヘビは普段はシェルターの中や床材の中に潜っていることが多いので、トカゲの飼育時ほど高さに気を配る必要はありません。
台を用意する場合、上記でご紹介したレプタイルボックスはとても軽いので専用のものである必要はなく、サイズが収まるものであれば基本的にどのようなものでも構いません。
ただし、複数置いて重くなる場合や、ガラスケージを使用する場合は専用の台や重さに耐えられる台を用意しましょう。
保温球
シシバナヘビの適正温度は25℃~30℃前後です。部屋全体の温度をエアコンで管理してしまっている場合は保温球は不要です。
そうでない場合はケージの外から保温球を照射します。ケージ内を直接温めるのではなく、ケージ周辺の温度を上げるイメージを持つと良いでしょう。
シシバナヘビは夜行性ですので、保温球を使用する場合はなるべく発光色が赤い夜用のものを使用してください。(爬虫類は赤色を視認できないとされているので昼夜問わず使用できます)
▼保温球照射イメージ▼
▼使用している保温球▼
ソケット
※保温球を使用しない場合は不要
保温球は「球」として売られているので、それをつなぐソケットが必要です。E26口金といわれるサイズが一般的で、爬虫類用のソケットであれば基本的にどのようなものでも問題はありません。角度の可動域が広いことと、コンパクトな設計で扱いやすいことから私は以下を使用しています。
▼使用しているソケット▼
パネルヒーター
真冬になると、保温球だけでは温度が保てなくなる時があります。そういう時はパネルヒーターを使いケージの下からケージ内を温めます。
ただし、パネルヒーターがケージ全体に当たらないよう注意してください。これはケージ全体が高温になりすぎないようにするためです。目安としてケージの3分の1ほどにパネルヒーターを当て、暖かいところと涼しいところをつくることを心掛けましょう。
また、水入れの下にパネルヒーターが当たらないようにも留意してください。水が温まってしまい、ケージ全体の湿度が著しく上がってしまう可能性があります。
シェルター
私の経験上、シェルターを使わないヘビはいませんでした。ストレス耐性がある種とはいえ、やはり隠れるところがあると落ち着くようです。
とても人に慣れている子でも、眠るときはシェルターの中に入ることが多いです。また、脱皮をする際は何かに引っ掛けたり体をこすりつけたりして脱皮をしますので、特に大きな理由がない限りは必ずシェルターを用意してください。
▼使用しているシェルター▼
私はバージンコルクという木材をシェルターとして使用していますが、各メーカーからもシェルターはたくさん出ており、人口のシェルターでもレイアウトに溶け込みやすいデザインの物もあります。
▼おすすめのシェルター▼
豊富なサイズが展開されているので、生体のとぐろのサイズに合わせて選んでくださいね!
■スドー ロックシェルターのポイント
水入れ
シシバナヘビをはじめ、ほとんどのヘビの飼育において水入れは必須です。水をよく飲みますし、時として水入れに全身浸かっている姿を見ることもできます。
乾燥しきってしまっていると脱皮不全を引き起こす原因にもなりますので、体全身(とぐろを巻いた状態)が浸かれるサイズのものを用意してください。
▼使用している水入れ▼
エサを食べずとも水を飲むだけで1か月以上生きることができる、というのはヘビの飼育において有名な話ですが、それくらい水は重要です。
水浴びをしているときに糞をする子もいるので、必ず毎日新鮮な水に換えてあげてくださいね。
他にも水入れはたくさんありますが、私の飼育しているシシバナヘビはベビーでとても小さいので、できるだけ小さいものを使用するために上記の物を使用しています。生体のサイズに対し水入れが大きすぎると溺れてしまう危険もありますので、顔が出せるくらいの深さの物を選ぶようにしてください。
■スドー レプタイルカップのポイント
ピンセット
主にエサを与えるときに使用しますが、ピンセットでも割りばしでも大丈夫です。大事なことは絶対に手からエサをあげないということです。
ヘビは舌で匂いを感じ取りエサの場所を把握します。
エサを手にもって与えると間違えて手に噛みついてくることもあります。命の危険はなくともシシバナヘビは毒を持っているので、噛まれる事態は絶対に避けなければなりません。
▼使用しているピンセット▼
また、手にエサを持っていなくとも匂いがついてしまっているだけの場合でもエサと間違えて飛びついてくることもありますので、必ずピンセットや割りばしでエサを持つようにしてください。
■ハプクラフト バンブーピンセットのポイント
生きエサ
一般的には生きているマウスやラットなどを指します。シシバナヘビの場合はカエルも生きエサとして扱われます。
ですが、ショップが冷凍エサに餌付かせているケースがほとんどですので、シシバナヘビの飼育において生きエサは必須ではありません。
逆に、カエルを与えてしまうと生きているカエルしか食べなくなることもあるそうで、そうなると飼育難易度が急に上がってしまうので、できる限り冷凍マウスや冷凍ラットで飼育をしたいところです。
もし、拒食に陥ってしまって冷凍エサに反応しない場合などに生きているエサを与えると食べる可能性がある、という程度ですので、冷凍エサがメインと考えてください。
冷凍エサ
主に冷凍されたマウスやラットを指します。こちらが主食になりますので必ず用意してください。ほとんどの爬虫類ショップで購入が可能ですし、通販でも容易に入手することができます。
与える際は必ず完全に解凍させた上で人肌程度に温めてから与えてください。半解凍や冷たいまま食べさせてしまうと吐き戻したり、体調を崩す原因になったりしてしまいます。
ヘビはエサを食べなくとも1か月近く、場合によっては数か月生きることができる生き物ですので、毎日与える必要はありません。逆に毎日与えてしまうと肥満になってしまいます。
20cmほどのベビーサイズのシシバナヘビを飼育している私の場合は、エサは1週間に1度、ピンクマウスSサイズを1匹分バラバラにして与える、というイメージで与えています。脱皮を確認することもできたので足りていないということはなさそうです。
生体の様子を観察しながら、成長に合わせてエサの量と頻度を調節してくださいね!
シシバナヘビとの接し方について
これまでは飼育に必要な用品をもとに注意すべき点や使い方について触れてきました。ここでは日々のお世話やシシバナヘビとの接し方について解説していきます。
日々のお世話
基本的にエサやりを除くと、温度管理とメンテナンス(掃除)以外に意識すべきことはありません。
シシバナヘビの糞はかなりの臭いがしますので、排せつを確認できたらすぐに取り除いてください。キッチンペーパーなどを床材に使用している場合は取り換え、床材を使用していない場合は湿らせたキッチンペーパーできれいに拭き取ります。
それでもどうしても臭いが一定残ってしまう場合や、完全に拭き取れない場合は、2週間に1度ケージを水道で丸洗いします。(※安全面を考慮し、洗剤は使わないでください)
シシバナヘビとの接し方
シシバナヘビは少し警戒心が強く、臆病な子が多いヘビなので、エサと間違える以外は積極的に噛んでくることも滅多にありません。しかし接し方を誤ってしまうと人を怖がるようになってしまったり、ストレスでエサを食べなくなってしまったり、あるいは攻撃してきたりすることもありますので、しっかりと覚えておきましょう!
毒を持っているヘビですので、接し方に注意してしすぎることはありません。
お世話をするとき
糞を取り除くときや、水替えなどを行うときはできるだけシシバナヘビの頭上に手や腕がいかないように意識しましょう。完全に人に慣れてしまった子であればそこまで意識する必要はありませんが、ベビーやヤングから飼育する場合はまだそれほど人慣れしていない場合が多いです。
シシバナヘビは、手を近づけたとき「シューっ」という音を出しながら体を膨らませる(威嚇)こともあり、世話のためでもそのような状態のときは、思わぬ事故につながってしまうことがあるので時間を空けてください。
また、エサを与えた直後の世話はできるだけ避けるようにしてください。エサを食べるモードになっているシシバナヘビは、舌を頻繁に出しながら手の動きを追う仕草をします。いつ飛びつかれてもおかしくありませんので、お世話をするときは必ずエサを与える前にしましょう。
ハンドリング
シシバナヘビは積極的に噛みついてくるタイプではありませんが、毒を持っている以上ハンドリングはできるだけしないに越したことはありません。特に理由がない場合の接触は控えたほうが無難であると言えます。
ケージの引っ越しをするときや丸洗いするときにハンドリングをしなければならない場合は以下に注意してハンドリングを行うようにしましょう!
- ケージから出すときは必ずヘビの腹部に手を添えてすくい上げるように持つ
- 暴れたり威嚇したり、嫌がる仕草を見せたらすぐ止める
- あまり頻繁にし過ぎず、長時間ハンドリングをしない
知っておきたいシシバナヘビの代表的な病気について
シシバナヘビがかかる病気はいくつかありますが、一般的なヘビの病気と同じですので以下にまとめています。ヘビがかかる病気についてあらかじめ概要を知っておきたい方はご覧ください。
▼ヘビがかかりやすい病気の解説記事▼
シシバナヘビの飼育方法まとめ
これまで、必要な用品をもとに私の飼育環境をご紹介しながら、フトアゴヒゲトカゲの飼育方法の解説を行ってきました。飼育において重要な点のみに絞ったまとめは以下です。
- 広すぎず狭すぎないケージを用意する(とぐろサイズの3倍の辺の長さ)
- エサは毎日与えるのではなく間隔をあける
- 温度は25℃~30℃前後をキープする
- お世話をするときは必ずエサを与える前にする
- ハンドリングはできるだけ避ける
- 力が強く脱走が得意なので必ずきっちり蓋を閉める
最後に:シシバナヘビと最高の生活を送っていただくために
最後までお読みいただきありがとうございます。
シシバナヘビは、大型にならず、ストレスにも比較的強いためとても飼育のしやすいヘビです。今回ご紹介させていただいた飼育方法で絶対大丈夫というわけではありませんが、できる限り詳しく、正確な情報をお伝えしました。
飼育においては、押さえなければならないポイントをしっかりと守りましょう。誤った飼育方法や接し方をしてしまうとシシバナヘビが体調を崩す原因になってしまったり、噛みつかれるなど思わぬ事故につながってしまうこともあります。
正しい接し方と飼育方法を続けていれば、人が見ていてもシェルターから這い出して歩き回り、自慢の鼻先で色々なところを掘ろうとする姿を見ることもできるようになります。
見た目において他に類を見ない魅力を持っているとても素敵なヘビですので、是非シシバナヘビとの素敵な生活を送ってくださいね。