トカゲがかかりやすい代表的な病気について|原因と対処法を解説

トカゲ・ヤモリ

トカゲなどの爬虫類に限らず、ペットの飼育に病気はつきものです。特に、日本に流通している爬虫類の多くは外国産であり、生息環境の違いから招いてしまう病気もあります。

ここでは、ペットとして飼育しているトカゲがかかる可能性のある代表的な病気について解説していきます。できる限り詳しく解説しますが、改善されない病気、原因不明の病気などもありますので生体の命を保証するものではない点のみご了承ください。

ここでは実際に私が経験した、あるいは見たことがある病気についてのみ解説します。

拒食

ある日突然エサを食べなくなってしまう症状です。大人のトカゲでしたら数日食べない程度であれば平気ですが、子供の場合は例え数日でも命に関わります。

数日食べなくとも平気とはいえ、拒食に陥るということは何か原因があるということなので必ず飼育環境を見直しましょう。

原因

全ての原因が明らかになっているわけではありませんが、主な理由は飼育環境が適切でない場合とストレスがかかっている場合の2通りです。

例えば、温度が適切でない、湿度が適切でない、ケージが狭すぎる、ハンドリングのし過ぎ、いつも怯える環境下(隠れるところがない、常に大きな音がするなど)にある、などが挙げられます。

個体によってストレス耐性が強い子と弱い子がいたりするので、多くの子がストレスに感じないようなちょっとしたことでもストレスになってしまう場合もあります。

飼育環境も適切で、ストレスの要因もなさそうであれば単純にエサに飽きてしまったということが考えられます。フトアゴヒゲトカゲなどのようにエサに貪欲なトカゲであっても、同じ野菜ばかりを与えていると急に食べなくなったり、昆虫食のトカゲにコオロギばかり毎日与えている、といった場合にも拒食が起こるケースがあります。

対処法

まずは飼育環境を徹底的に見直しましょう。温度や湿度はもちろん、衛生面も必ず意識してください。足元より高い位置にケージを配置する、シェルターを設置するなどしてストレスを与えない環境を作ります。

次に、温浴をさせてあげてみてください。温浴は、脱皮不全の改善や排せつの促進の他、食欲促進の効果も見込まれます。実際に、私が飼育しているインドシナウォータードラゴンが拒食に陥った際は、この温浴をした翌日から徐々にエサを食べるようになってくれました。

温浴についての詳細は以下で詳しく解説しています。

▼温浴解説記事▼

トカゲの温浴について|具体的な効果や温浴方法などを徹底解説
ここでは、トカゲを中心とした爬虫類を飼育する際の温浴について具体的にどんな効果があるのか、どうやって温浴をさせるのか、などを徹底解説します。正しい温浴方法を身に着け、生体が健康でいられるようにしましょう。

それでもエサを食べてくれない場合は、普段与えているエサを変えてみましょう。昆虫食であれば、コオロギ、デュビアがメインであると思いますが、ミルワームやシルクワームなどに変えると食べるときがあります。

ただし、ミルワーム系は栄養が偏っており本来主食には向かない虫エサです。何も食べていない状況からの改善は期待できますが、今度はミルワームしか食べなくなってしまうこともありますので、できれば最終手段として考えておきたいところです。

クル病

骨が変形してしまい、体をうまく動かせなくなる病気で、死に至る場合もあるとても危険な病気です。多くのトカゲの代表的な病気ですが、正しい飼育方法で完全に予防できる病気でもあります。

原因

主な原因はカルシウム不足です。

コオロギやデュビアなどの昆虫、野菜などからは十分なカルシウムを得ることができないため、上で挙げたカルシウム剤が必須であり、さらにカルシウムの吸収を助けるために紫外線ランプ(UVB)が必要です。

対処法

まずはエサにしっかりとカルシウム剤をつけることと、紫外線ランプを交換してください。紫外線ランプは、紫外線が切れていても発光します。「カルシウム剤もつけているし紫外線ランプもつけているのにどうして」という場合にクル病にかかってしまうほとんどがこのケースです。発光していても必ず半年に1回は新しい紫外線ランプに交換しましょう。

一度クル病になってしまうと、進行を止めることはできても変形した骨をもとに戻すことはできません。事前の知識としっかりとした管理で未然に防ぐことができる病気ですので、かからないように必ず留意してください。

脱皮不全

脱皮がうまくできず、ひどい時には体の一部分が壊死してしまう症状です。ほとんどの爬虫類は脱皮をし、古い皮を脱ぎ捨てることで成長します。その際、尻尾の先の皮が残ったり、指先の皮が残ったりしてしまうケースがあります。そのままでは皮が残った部分の血行が悪くなり、壊死し落ちてしまう場合もあります。

原因

原因としては、UVAが不足していることと湿度が適切でないことが可能性として挙げられます。UVAを人工的に照射する必要はありませんが、一切自然光の入らない環境に飼育ケージを置いていると、窓から通過するUVAを浴びることができません。

また、湿度について、フトアゴヒゲトカゲなどのように乾燥地帯に住んでいるトカゲであればそこまで意識する必要はありませんが、極度に乾燥している状態も良くありません。水入れは必ず設置しましょう。

対処法

脱皮が始まったら注意深く観察してください。一通り終わった後、四肢の指先や尻尾の先を目で確認し、皮が残っているようであればピンセットで剥いてあげます。

また、34℃~37℃前後のお湯につけてあげる温浴も効果的です。最初は嫌がる子が多いですが、徐々に慣らしていってあげてください。温浴については脱皮不全を改善する以外にも食欲促進などのメリットもあります。

温浴についての詳細は以下で詳しく解説しています。

▼温浴解説記事▼

トカゲの温浴について|具体的な効果や温浴方法などを徹底解説
ここでは、トカゲを中心とした爬虫類を飼育する際の温浴について具体的にどんな効果があるのか、どうやって温浴をさせるのか、などを徹底解説します。正しい温浴方法を身に着け、生体が健康でいられるようにしましょう。

湿度が適切であるにも関わらず、そもそも脱皮をしない場合はエサの量を調節してみてください。トカゲは毎日は食べなくとも生きていける生き物ではありますが、飼育途中でそれを実体験として得てしまうとついついエサが不足してしまうことがあります。

肥満に気を付けながら、少しエサの量や頻度を増やしてみると良いかもしれません。

肺炎(呼吸器疾患)

息をするのが辛そうな仕草をします。具体的には、口をパクパクさせたり、バスキング中でもないのに口が開きっぱなしだったり、喉辺りから鳴き声のような音が出たりします。風邪と併発することの多い病気で、鼻水が出ることもあります。

原因

この病気は私も飼育上で経験がありますが、原因は、最初から感染している場合と風邪を引いてしまってから肺炎に発展する場合の2通りが主です。風邪は温度が低いことでかかることが多いようで、秋や春など朝夜急に気温が下がる季節は要注意です。

対処法

ショップで生体を買う前にまずは良く観察をしましょう。上で挙げたように苦しそうな仕草をしている個体を買わないことが大切です。もし見かけた場合は、店員さんも気づいていない可能性があるので遠慮なく質問しましょう。

肺炎にかかってしまった、あるいはかかっている子を買ってしまった場合は速やかに病院に連れて行きましょう。私の場合はビタミン剤を処方してもらえました。その際お医者さんにアドバイスされたことを記載しておきます。

ビタミン剤を1日1回、1滴飲ませてください。それと、とにかく暖かくしてあげて、温度が下がらないように。エサは毎日食べるだけ与えてあげてください。

私が飼育している子は上記で完治まで至らせることができましたが、治る場合と治らない場合があるそうです。日々の観察の中で異常を感じ取れるようにしておきましょう。

最後に:トカゲと長く一緒に過ごすために

自宅にペットとして迎えるトカゲの中には、もともとてんかん発作を持っている子や、先天的に疾患を持っている子もいます。爬虫類の「突然死」は知り合いの飼育者の中でも話題に上がることがあります。

しかし、そういった場合を除き、正しい知識と飼育方法を身に着けていれば予防できる病気もたくさんあります。本来人間と一緒に過ごしていくペットではないため、犬や猫などのペットよりも知識と飼育経験が必要になるでしょう。

また、病気にかかってしまったときにすぐに診てもらうことができる獣医さんを見つけておくことで、トカゲを死なせてしまうリスクを下げることができるのでペットとしてお迎えする前に必ず事前に確認をしておきます。

しっかりと飼育環境を万全に整え、お迎えしたトカゲと少しでも長く一緒に過ごしましょう!